海外駐在が視野に入る商社パーソンの資産形成は、「出国前に何を済ませるか」でその後の5年が決まります。日本の非居住者になると、NISA口座での新規買付は原則できなくなり、証券会社によっては口座の取り扱い自体が変わります。辞令が出てから慌てるのではなく、内示の気配がある段階で棚卸しを始めるのが正解です。
確認すべきは大きく四つ。第一に証券口座とNISAの扱い(非居住者への対応は金融機関ごとに異なるため、事前照会が必須です)。第二に持株会と財形。なんとなく続けてきた拠出が、資産の中でどれだけの比率を占めているかを一度数字にします。第三に保険。海外赴任者向けの保障と重複していないか。第四に住宅。帰任後に買うのか、赴任中の為替と貯蓄をどう住宅資金に接続するのかです。
駐在は資産形成の中断ではなく、通貨と時間を分散する好機に変えられます。
商社の持株会は奨励金があり有利に見えますが、勤務先と資産の両方を同じ会社に依存する集中でもあります。財形も低金利下では増やす力を持ちません。どちらも悪い制度ではなく、比率の問題です。資産全体の中で位置づけを決め、超えた分は取り崩して中核の運用へ回す判断が必要になります。
駐在中は現地通貨の収入が生まれます。円とドルなど複数通貨で資産を持つこと自体がリスク分散になるため、帰任後まで含めた通貨の設計図を出国前に描いておくと迷いません。
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